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ボローニャ2013(準備編②)

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 前回の続きです。
 航空券、ホテルの予約、海外で使用可能なクレジットカードの他に、僕が出発までに準備したものは、パスポート、作品ファイル、入選作品の新しい場面の原画、会場の掲示板に貼る用のポスター、入選作品を絵本にした場合こうなりますよ、というのがわかるような試作品(絵本業界ではダミー本と呼ばれることが多いようです)、名刺、旅行用カバンやその他ガイドブックなど携帯品です。
 順番に説明をしていきます。

 パスポートは10年分のを新しく作り直しました。一度大学生のときに作っていたのですが、10代の頃だったので有効期限が5年のものしか作ることができず、去年の時点で使えなくなってしまったからです。ちなみに、イタリアに入国するにはパスポートの有効期限が90日以上残っていないといけないようなので、注意が必要です。
 パスポートができるまで1週間ほどかかったと思います。市役所的なところでパスポート申請用紙や住民票、戸籍謄本を手に入れて、家で丁寧に申請用紙に記入、顔写真を貼って地元のパスポートセンターへ。今までの古いパスポートも持って行きます。これがどこを探そうにもちっとも見つからなくて大変でした。
 パスポートセンターはめちゃくちゃ混んでいるという噂を聞いていましたが、平日の午前中に行ったら割とすいていました。その場で申請書類に記入したりすると、その間に長蛇の列になる恐れがあるので、家でゆっくり書いておいた方が良いです。数日後に出来上がったパスポートを取りに行く際、16,000円が必要なのでご準備を。

 作品ファイル。大学を卒業してから制作したリトグラフや鉛筆画を網羅した、最新版のポートフォリオを作りました。作品の画像やキャプションをプリントしてリング式クリアファイルに入れた、かなりしっかりしたものです。しかしほとんど使いませんでした。出版社の方に作品を見せる機会はありましたが、雰囲気的には「絵本に関するもの」だけを用意するだけでよく、あまり膨大な量の作品を見せられても見る側は疲れてしまうと思います。後ほど説明する原画やダミー本の方が役に立ちました。そもそも僕はファイルの中に入れる英語版のプロフィールを作り忘れていました。
 しかし、ボローニャに来ている他の日本人作家の方と会場でお話をさせてもらったときには、自分の由来というか、ここまでに至る経緯のようなものを説明するために役に立ったと思います。
 出版社のブースで作品を見せている人の中にはポートフォリオを見せている人もたくさんいたので、絵本を想定したストーリー性のある作品をたくさん作っている人は、ちゃんと用意しておいた方が良いと思います。
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 入選作の他の場面の原画があった方がよい、という話をどこかで聞いたので、新しく描こうと思いました。いくつかアイディアを膨らませて、3場面くらい用意しようと思いましたが、その他の準備が予想以上に忙しく、理科室の1場面しか描くことができませんでした。完成したのは出発日の朝。本当にギリギリでしたが描ききってよかったと思います。これで少しだけ売り込みの武器として恥ずかしくない状態に持っていけました。

 会場には自由にポスターやポストカードを貼っていい掲示板がある、ということも小耳に挟んでいたので、僕はA3サイズのポスターを作りました。このポスターに使おうと思っていた作品もまだ出来上がっていなかったので、こちらは原画よりも早めに制作しました。正直ポスターに関しては効果があったかはわかりません。でも作りたいから作りました。もしかしたら絵を見て興味を持ってくれる人がいるかもしれないので、ウェブサイトのURLも入れておきました。

 そしてダミー本。本の状態になっていないと見てくれない出版社もある、という文章をネットサーフィン中に目の端に捉えたので、入選作5枚を小冊子にまとめました。テキストもあった方がいいかなあ、とも思いましたが、英訳に自信がなかったし、レイアウトも難しくなるので諦めることに。もしかしたら配ることになるかも?と思い20冊ほど作って持っていきましたが一切配らず。出版社に渡せるような空気でもなかったので、持っていくのはもっと少なくて良かったと思いました。

 最後に名刺。英語で書いた名刺を持っていなかったので新しく作りました。片面に名前と電話番号、メールアドレス、サイトのURL。もう片面に入選作の絵を1つ配置。この名刺は大変役に立ちました。出版社の方や、現地で知り合った作家の方や、はたまた今回の審査員の方々とも、何人かと名刺交換させていただきました。絵は絶対に入れておいた方が良いと思います。絵があったおかげで「あ〜、あの絵の方ですね!」という感じになり、そこからお互い会話が弾みます。あと自分はうっかり忘れていましたが、電話番号は「+81」で始まる国際用で記載しておいた方がよいと思いました。ほとんどの作家さんの名刺がそうなっていました。

 ポスターと名刺は印刷品質の良いオフセット印刷で注文。冊子はあまりコストのかからないオンデマンド印刷で作りました。利用したのはグラフィックという印刷通販の会社です。
 以前「トレモロ」や「未来研究」を作ったときも利用させていただきました。他の会社に比べて少し料金は高めかもしれませんが、選べる紙の種類が断然豊富なので気に入っています。まったく編集を必要としない「完全データ」という状態で入稿するのですが、ボローニャ用のものを作る前に自分で本を作っていて本当に良かったです。あまり手間取らずに済みました。
 ただ、ダミー本だけは入稿するときにデータが破損してしまい、もう一度送り直すというトラブルがあったおかげで、出発当日の朝に商品が届く羽目に。前日は眠れなかったです(というか原画を描いていたのでそういう意味でも眠れませんでした)。オンデマンド印刷であれば3日ほどで届きますが、くれぐれも入稿はお早めに・・・。
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↑出発の3日前の作業机の様子。机の上の乱雑具合と頭の中の混乱具合がリンクしています。

 
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↑次の日。ポスターが無事に到着したのでほっと一息。原画は残すところあと3分の1。右にあるのはダミー本の試作品。

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↑出発当日の朝に完成。分子模型を描き加えたくなったので、思い切って買ったものの多分もう使わないでしょう。

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↑ちらほら載せていますがこれがダミー本です。非売品。他の場面を加えて、そのうちちゃんと絵本にしようと思っています。新しくテキストも作ったのでお楽しみに。

 次回は持ち物や服装など、いろいろと揃えて便利だったものについて書きたいと思います。
by msk_khr | 2013-05-15 19:30 | ボローニャレポート