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memo

機種変をして思う

 携帯電話をついにスマートフォンに変えました。
 今まで使っていた携帯が壊れたとか、電池がすぐになくなって不便だとか、そういった正当な理由もなく機種変更をしたのはこれが初めてです。携帯の気持ちを考えると胸が痛みます。彼からすれば、今までさんざん尽くしてきたのに突然捨てられたようなものです。

 しかし僕は、今まで使った携帯電話をすべてとっておいてあります。そもそも捨て方がよくわからないというのもあるけど、それらには大切なメールや画像が保存してあるから、どうしても捨てる気になれないのです。
 かといって昔の携帯を充電して、そこに入っているデータを見直したことは一度もありません。卒業文集と同じで、若い頃に自分が残したものを見るとすごく恥ずかしい気持ちになるからです。

 パソコンに保存してあるメールや写真も一度も整理したことがありません。きっとこれからこの新しい携帯に保存していくデータも、容量がいっぱいになるまで貯められたのち、再び携帯を機種変更されて、タイムカプセルのように長い間、小さなチップに閉じ込められてしまうことでしょう。
 テレビゲームみたいに、久しぶりに起動させたらいつのまにかデータが消えていた、ということもあるかもしれません。他のハードディスクやインターネット上のスペースにデータを移し替えていくことはできるかもしれないけれど、それで情報が手に触れられるものに変わるわけではなく、いつまでたってもデータは実体のないデータのままです。

 大切にしていたそれらのデータが、架空の倉庫に半永久的に保存されることの中には、なんとなく寂しさというか、一種の悲しみがあるような気がします。人間が情報を電気的に保存するようになる以前には、この世界に存在していなかった新しい悲しみの形です。 
 僕自身もこんな感じで今日もまた、未来の自分が見たら目を背けたくなるような恥ずかしい文章をウェブ上に残しています。これこそが本当に悲しいことです。
by msk_khr | 2013-02-10 20:30 | 日々のこと