未来研究についてのはなし⑥
最後に「未来研究」全体の反省を書いていきたいと思います。
作品の内容については特に言いたいことはありません。次にもっといいものを作ろうと思います。反省というのは印刷のことです。
だいぶ前に印刷のムラのことを述べましたが、オンデマンドで印刷したということだけでなく、紙の種類にもムラを目立たせてしまう原因があったのかな、とも思っています。ムラができたことがかなりショックだったので、自分なりにいろいろと考えました。予算的にはオフセットでは到底作れません。ではオンデマンドで印刷する場合、失敗を避けるためにはどうしたらいいのか?ということです。
「未来研究」の本文の紙はマットコート再生紙R100 135kgという、少しだけツヤがあり、ふつうの紙よりもわずかにグレーで、本文用紙としてはかなり厚めの紙を選びました。この紙選びに5000時間くらいかけたのですが、前作の「トレモロ」での反省点を踏まえ、裏透けがしないような紙を、というのが第一条件でした。加えて、黒が鮮やかに印刷される紙でなければなりませんでした。紙のサンプルとにらめっこしながら長時間悩み続け、一番失敗しないと思われたのがマットコート紙だったわけです。
結果裏透けもせず、黒も鮮やかに印刷されたわけですが、清潔なつやっとした質感のせいで、かえってムラもはっきりと目立ってしまいました。お金がないのでどこかで妥協をしなければならないわけですが、印刷の発色と引き換えに風合いの強い「味系」の紙を使うか、ベタ面の画を避けるかの2択かな、と思います。黒いベタ面は好きなのですが、そればっかりに頼りすぎるのも良くないな、とも最近は思っています。
それから自分が失敗したと思うのは紙の厚さです。紙が厚い分裏透けは全く無いのですが、ページをめくるときの感触が硬いのです。もう少し薄くて、めくるとピラッとした紙の音が鳴る方が好みでした。
表紙の印刷についてはほとんど完璧にできたと思います。あるとすれば裏表紙の青色がもっと無機質だったらとか、背の部分の文字の黄土色がもうちょっと明るく出ていればとか、そういった自分にしかわからないような些細なことです。表紙はヴァンヌーボVGスノーホワイト195kgという紙を使いました。この紙も本文用紙とともに5000時間くらい悩んで選んだわけですが、風合いのある手触りなのにインクがのったところはグロスっぽいツヤが出て、鉛筆のドローイング部分なんかはかなりリアルな光り方になっていると思います。
これらの点を踏まえて、これからの本づくりをどのような展開にしていこうかいろいろと考えを巡らせています。次回は挿絵の役割を少し変えてみようと思います。「トレモロ」と「未来研究」は文章と図画のバランスがだいたい半々でしたが、次回は文章が主体の本にしようと思っています。そして挿絵はドローイングから選ぶ。「未来研究」では文章に合わせて画を描きましたが、正直あまり上手くいきませんでした。「花火」はわりと映像的な文章だったので何とかなりましたが、もともと文章の作品はビジュアル的な表現がむずかしい事柄を書いているつもりなので、画にしようがない、ということを強く感じました。
紙も薄くしたいので、レイアウトを工夫して多少裏透けがあっても気にならない構成にしようと思っています。簡単に言えば余裕のあるレイアウトといいますか、白紙のページもあっていいかなと思っています。
そのうちには絵本のようなものも作ろうと思います。そのときには「未来研究」くらいの紙の厚さで、表紙もしっかりしたハードカバーで作りたいです。
僕がいま最終的に夢見ているのは「星の王子様」や「モモ」や「ムーミン」ような作品を作ることで、絵本よりも児童文学に寄ったものです。これらは作者本人が挿絵を描いています。僕が創作によってご飯を食べていけるようになった自分を想像するとき、絵だけを描いている自分ではなくて、世界中の言語で翻訳され、何十年も読み続けられるようなひとつの本を作っている自分を想像しています。
今年は最低でも1冊は本を作り、絵は新作を10作以上描き、滞っているドローイングを巻き返すのが目標です。いつもこのmemoを読んでくれている数人のみなさん、ありがとうございます。ブログレポートで訪問者数を毎日チェックしては一喜一憂しています。今年もよろしくお願い致します。
作品の内容については特に言いたいことはありません。次にもっといいものを作ろうと思います。反省というのは印刷のことです。
だいぶ前に印刷のムラのことを述べましたが、オンデマンドで印刷したということだけでなく、紙の種類にもムラを目立たせてしまう原因があったのかな、とも思っています。ムラができたことがかなりショックだったので、自分なりにいろいろと考えました。予算的にはオフセットでは到底作れません。ではオンデマンドで印刷する場合、失敗を避けるためにはどうしたらいいのか?ということです。
「未来研究」の本文の紙はマットコート再生紙R100 135kgという、少しだけツヤがあり、ふつうの紙よりもわずかにグレーで、本文用紙としてはかなり厚めの紙を選びました。この紙選びに5000時間くらいかけたのですが、前作の「トレモロ」での反省点を踏まえ、裏透けがしないような紙を、というのが第一条件でした。加えて、黒が鮮やかに印刷される紙でなければなりませんでした。紙のサンプルとにらめっこしながら長時間悩み続け、一番失敗しないと思われたのがマットコート紙だったわけです。
結果裏透けもせず、黒も鮮やかに印刷されたわけですが、清潔なつやっとした質感のせいで、かえってムラもはっきりと目立ってしまいました。お金がないのでどこかで妥協をしなければならないわけですが、印刷の発色と引き換えに風合いの強い「味系」の紙を使うか、ベタ面の画を避けるかの2択かな、と思います。黒いベタ面は好きなのですが、そればっかりに頼りすぎるのも良くないな、とも最近は思っています。
それから自分が失敗したと思うのは紙の厚さです。紙が厚い分裏透けは全く無いのですが、ページをめくるときの感触が硬いのです。もう少し薄くて、めくるとピラッとした紙の音が鳴る方が好みでした。
表紙の印刷についてはほとんど完璧にできたと思います。あるとすれば裏表紙の青色がもっと無機質だったらとか、背の部分の文字の黄土色がもうちょっと明るく出ていればとか、そういった自分にしかわからないような些細なことです。表紙はヴァンヌーボVGスノーホワイト195kgという紙を使いました。この紙も本文用紙とともに5000時間くらい悩んで選んだわけですが、風合いのある手触りなのにインクがのったところはグロスっぽいツヤが出て、鉛筆のドローイング部分なんかはかなりリアルな光り方になっていると思います。
これらの点を踏まえて、これからの本づくりをどのような展開にしていこうかいろいろと考えを巡らせています。次回は挿絵の役割を少し変えてみようと思います。「トレモロ」と「未来研究」は文章と図画のバランスがだいたい半々でしたが、次回は文章が主体の本にしようと思っています。そして挿絵はドローイングから選ぶ。「未来研究」では文章に合わせて画を描きましたが、正直あまり上手くいきませんでした。「花火」はわりと映像的な文章だったので何とかなりましたが、もともと文章の作品はビジュアル的な表現がむずかしい事柄を書いているつもりなので、画にしようがない、ということを強く感じました。
紙も薄くしたいので、レイアウトを工夫して多少裏透けがあっても気にならない構成にしようと思っています。簡単に言えば余裕のあるレイアウトといいますか、白紙のページもあっていいかなと思っています。
そのうちには絵本のようなものも作ろうと思います。そのときには「未来研究」くらいの紙の厚さで、表紙もしっかりしたハードカバーで作りたいです。
僕がいま最終的に夢見ているのは「星の王子様」や「モモ」や「ムーミン」ような作品を作ることで、絵本よりも児童文学に寄ったものです。これらは作者本人が挿絵を描いています。僕が創作によってご飯を食べていけるようになった自分を想像するとき、絵だけを描いている自分ではなくて、世界中の言語で翻訳され、何十年も読み続けられるようなひとつの本を作っている自分を想像しています。
今年は最低でも1冊は本を作り、絵は新作を10作以上描き、滞っているドローイングを巻き返すのが目標です。いつもこのmemoを読んでくれている数人のみなさん、ありがとうございます。ブログレポートで訪問者数を毎日チェックしては一喜一憂しています。今年もよろしくお願い致します。
by msk_khr
| 2013-01-02 21:53
| 本について