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memo

未来研究についてのはなし⑤

 「未来の音楽家のためのエチュード」。
 この作品は難産でした。なにせ楽譜を作らなければならなかったからです。頭の中でイメージしていたときは文中にちょっとずつ譜面を挿むようにしようとか、音符の説明をわかりやすく図で描こうとか考えていたのですが、本が縦書きだときれいに入らないことにすぐに気がつきボツに。五線譜ノートを買ってきて手書きで書こうかとも思いましたが、検索したら結構楽譜作成のフリーソフトが転がっていたのでそれを使ってみることに。「MuseScore (ミューズスコア)」というサイトで無料でダウンロードできますので、興味のある方はぜひ遊んでみて下さい。操作に慣れるのにはちょっと時間がかかったものの、曲を作りながら音を確認したいときはすぐに再生して聞くことができたので楽チンでした。

 曲づくりをしてみてわかったことは、絵を描く作業と似ているな、ということです。「未来の音楽家のためのエチュード」を作る上での条件として、まず4分の4拍子で、「2分音符」「4分音符」「8分音符」「4分休符」「8分休符」をそれぞれ1回以上登場させ、バイエルに出てきそうな真面目くさいメロディにする、というのがありました。これは本文の内容と合致させるためです。一旦それで作ってはみたものの、ちょっと時間を置いて聞いてみるとなんとなく引っかかるところが見つかって部分的に修正したり、そもそも長すぎるんじゃないかと思って構成を大きく変えたり・・・。普段絵を描くときの作業方法と全く変わらないのです。文章を作るときも同様。ひとつ作るのにここ数年の携帯電話くらいの改良を重ねないとできあがりません。人によっては一度書いたものは直さない人もいるかもしれませんが、自分の場合は納得のいくまでとことんこねくり回さないと気が済まないタチのようです。

 「トレモロ」の静かな終わり方とは逆に、「未来研究」は明るくさわやかに終わらせたいな、という気持ちがあったので「エチュード」を最後にもってきてみました。長めの文章を最後に入れるのもかっこいいかな、とも考えてのことです。しかし長いといってもたかだか4ページちょっとのもので、それでこんなに苦労したのですから、世の中の文章作家というのは本当にすごい人たちだと思います。次の本は短めのものを多めに収録したいような気がしています。その辺の展望も含めつつ、「未来研究」全体の反省を次週してみたいと思います。

〜次回へつづく〜
by msk_khr | 2012-12-26 23:29 | 本について