でもなんとか間に合いました
個展に展示する作品の額装の方法について、埼玉の志木市にある額縁屋にご相談に伺いました。初めて行くところなので時間に余裕のある日を選び、思わぬアクシデントに遭っても大丈夫なように、夕方にバイトのシフトが入っていない月曜日に行くことに決め、1時に伺う約束をしました。しかしアポを取った数日後にもう一度シフト表を確認したら、なぜか月曜日の僕のシフトが「◯」になっていました。僕は目を疑いました。どうやら手帳に写し忘れていたようでした。
仕事は夕方5時からなので、完璧に行動すれば間に合うはずです。額屋さんは駅からずいぶんと離れたところにあるようでした。僕は一番の不安要素である志木駅からのバスの時刻表をパソコンからプリントアウトし、まるで良くできた小学生のように、新しく買ったマーブル色の色鉛筆で自分が乗るべき時間のところに丸を付けました。
家から志木駅までおよそ1時間ですが、そこからバスでどれくらいかかるかわかりません。バスは道路状況によって大幅に遅れることがあります。だいたい30分くらいとして計算することにしました。額屋での打ち合わせに大きく見積もって1時間かかるとして、志木駅に戻るのが2時半頃。志木からバイト先まで1時間半ですから、だいぶ余裕のある計算です。バスが行きと帰りで15分遅れたとしても間に合うでしょう。僕は自分の完璧な行動計画に酔いしれながら眠りにつきました。
当日僕は寝坊をし、乗ろうと思っていた電車の2本あとの電車に乗る羽目になりました。電車に乗る前に、少し遅れそうだいうことを額屋さんに連絡しようと思いましたが、アポを取ったのがだいぶ前だったので、電話番号が発信履歴に一切残っていませんでした。アドレス帳にも登録するのを忘れていました。しかもこんな日に限ってPASMOを忘れてしまいました。作品を大きめのダンボール板に挟んで持っていたので、切符を買うときにものすごくもたつきました。
電車に乗ってから、プリントアウトしたバスの時刻表を忘れていないか確認しました。幸い鞄の中にちゃんと入っていましたが、帰りのバスの時刻表を調べておくのを忘れていたことに気がつきました。携帯のナビ機能で調べようと思いましたが、僕が乗る予定のバスは検索対象外となっていました。
しかしそんなことはいわば想定の範囲内でした。アクシデントは大抵起きるものです。一番悲しかったのは、こんなにも準備をして頭を悩ませ、つめたい汗をかきながら額屋に向かったにもかかわらず、打ち合わせがものの15分で終わってしまったことでした。なんだか不完全燃焼のまま、心にぽっかりと穴が空いたような気持ちで僕は額屋をあとにしました。
充分な時間があったので、元気のいいことに志木駅まで徒歩で帰ることにしました。歩いているとだんだんと気分が良くなってきました。打ち合わせがスムーズにいったことで悩みがひとつなくなって、僕はなんてことのない風景の断片にも小さな感動を見出せるような、繊細な芸術家の精神状態になっていました。急ぐ必要もなく、このままいくらでも歩いていけるような、そんな気分でした。そうやって知らない土地の町並みと携帯のナビ機能を交互に見ながら、およそ45分ほどかけて駅にたどり着きました。
そして乗ろうとしていた電車が人身事故の影響で運転を見合わせていました。
仕事は夕方5時からなので、完璧に行動すれば間に合うはずです。額屋さんは駅からずいぶんと離れたところにあるようでした。僕は一番の不安要素である志木駅からのバスの時刻表をパソコンからプリントアウトし、まるで良くできた小学生のように、新しく買ったマーブル色の色鉛筆で自分が乗るべき時間のところに丸を付けました。
家から志木駅までおよそ1時間ですが、そこからバスでどれくらいかかるかわかりません。バスは道路状況によって大幅に遅れることがあります。だいたい30分くらいとして計算することにしました。額屋での打ち合わせに大きく見積もって1時間かかるとして、志木駅に戻るのが2時半頃。志木からバイト先まで1時間半ですから、だいぶ余裕のある計算です。バスが行きと帰りで15分遅れたとしても間に合うでしょう。僕は自分の完璧な行動計画に酔いしれながら眠りにつきました。
当日僕は寝坊をし、乗ろうと思っていた電車の2本あとの電車に乗る羽目になりました。電車に乗る前に、少し遅れそうだいうことを額屋さんに連絡しようと思いましたが、アポを取ったのがだいぶ前だったので、電話番号が発信履歴に一切残っていませんでした。アドレス帳にも登録するのを忘れていました。しかもこんな日に限ってPASMOを忘れてしまいました。作品を大きめのダンボール板に挟んで持っていたので、切符を買うときにものすごくもたつきました。
電車に乗ってから、プリントアウトしたバスの時刻表を忘れていないか確認しました。幸い鞄の中にちゃんと入っていましたが、帰りのバスの時刻表を調べておくのを忘れていたことに気がつきました。携帯のナビ機能で調べようと思いましたが、僕が乗る予定のバスは検索対象外となっていました。
しかしそんなことはいわば想定の範囲内でした。アクシデントは大抵起きるものです。一番悲しかったのは、こんなにも準備をして頭を悩ませ、つめたい汗をかきながら額屋に向かったにもかかわらず、打ち合わせがものの15分で終わってしまったことでした。なんだか不完全燃焼のまま、心にぽっかりと穴が空いたような気持ちで僕は額屋をあとにしました。
充分な時間があったので、元気のいいことに志木駅まで徒歩で帰ることにしました。歩いているとだんだんと気分が良くなってきました。打ち合わせがスムーズにいったことで悩みがひとつなくなって、僕はなんてことのない風景の断片にも小さな感動を見出せるような、繊細な芸術家の精神状態になっていました。急ぐ必要もなく、このままいくらでも歩いていけるような、そんな気分でした。そうやって知らない土地の町並みと携帯のナビ機能を交互に見ながら、およそ45分ほどかけて駅にたどり着きました。
そして乗ろうとしていた電車が人身事故の影響で運転を見合わせていました。
by msk_khr
| 2011-10-01 23:25
| 日々のこと