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memo

フリーアルバイター珍道中

 新しいアルバイトを始めた。アートオークション会社のアシスタント業務だ。初出勤の今日、僕は気合いを入れるために、バイト先の最寄り駅に着くとオロナミンCを買って飲んだ。120円の出費は惜しかったが、経済的に好転するための大事な一日だったので財布のひもが緩くなっていた。
 136円のペットボトルのお茶も買ってしまった。少し早めに出勤したので、もし先に来ていたバイトの人と勤務開始時刻まで他愛もない会話をする事態になった場合、飲み物ひとつあるだけで間の取り方と相槌のバリエーションが格段に増えることを僕は心得ていた。

 オークションの下見会のために、たくさんの作品を箱から出して展示していった。中には僕の敬愛する浜口陽三のカラーメゾチントも含まれていた。他にもピカソやクリムトなどの有名画家の作品に触れながら、午前中の仕事は滞りなく進んだ。

 昼休み、一緒に作業をしていたバイトの先輩2人と、ご飯を食べに出ることになった。僕は金欠だったので、できれば昼食代を350円以内にとどめたかったが、新人の自分だけが行かないわけにもいかないので身をまかせた。辛い料理を食べると発汗量が半端ないことになる僕の新陳代謝事情を初対面の2人が知るはずもなく、800円以上のメニューしかない韓国料理屋に僕たちは軽快に入っていった。
 僕は800円の冷麺を頼んだが、量が多すぎて残した。先輩が注文した石焼ビビンパに乗っていた卵が、黄身までよく火の通った目玉焼きだったことには誰もツッコミを入れなかった。

 会話のサポート役として買ったはずのお茶は、午後の仕事で意外にも重宝した。仕事場はエアコンが効いているのでそれほど汗はかかないが、やはり動き回っているうちにとても喉が渇いてくる。ちょくちょく入る休憩の度に僕は水分補給をし、伊右衛門は飲み物としての真っ当な役目を果たして消えていった。
 初仕事は体力の配分が難しい。基本的に勤務時間は6時半までだが、残業はよくあるということは聞いていた。しかも休憩時間は不規則にやってくる。僕は4時頃、自分のHPが残り少なくなっているのを感じた。そして休憩時間にコンビニに走り、生まれて初めて「レッドブル」を買った。200円もするので迷ったが、飲めばなんとなく力がみなぎりそうな気がしたのだ。飲んでみると予想どおり、なんとなく力がみなぎりそうな気がした。

 いろいろ出費があったものの、無事にバイトは終わった。3日以内に電気代を払わなければ電気が止まる知らせを受けていた僕は、今日の支出のことばかり考えながら駅まで歩いた。
by msk_khr | 2011-07-16 00:48 | 日々のこと