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memo

忙しくなりそうだ

 大学の友人に誘われ、保存修復に関わる仕事の手伝いをさせてもらえることになった。あるお寺の4本の柱に描かれた古画の復元模写のために、Photoshopで大量の赤外線写真をパズルのようにつなぎ合わせて、線描がきっちり整うように1枚の画像にするという仕事だ。期限は約1ヶ月。短期集中型のアルバイトだ。毎日二度寝するほど時間はあったし、何よりお金がとても欲しかった僕はほとんど自動的に首を縦に振った。

 今月に入ってから暇を持て余していた僕は、昨日から新しいロールプレイングゲームをやり始めていた。「7(セブン)〜モールモースの騎兵隊〜」というプレイステーション2専用ソフトだ。およそ10年前に発売されたソフトだが、当時は忙しくてプレイする時間がなかったので買わなかった。大学時代にようやく中古で購入したものの、やはり時間がなかったためにそのまま保留。昨日なぜかそれを無性にやりたくなり、実家から持ってきたプレステ2を久々に起動したのだ。
 絵本のようなグラフィックに魅せられ、10年以上プレイする日を待ちわびていただけに、発売当時の興奮が一瞬で蘇った。主人公の目は長い前髪に隠れて見えない。名前も付いていない。これはプレイヤー本人が主人公に自分を投影しやすくするために、わざと匿名な存在にしているわけだ。自分も最近、作品中に人物を入れるときには目を隠すことが多い。表情が消えると、それを取り巻く空間がより一層静かになる気がするのだ。

 今日は修復の仕事の友人が説明のために家に来た。実際の手順を聞いてみると、相当手間のかかるものだということがわかった。絵は円柱の表面に描かれているため、撮影された写真の中心は歪んでいないのだが、外側にいけばいくほど回り込みが強くなって絵の歪みが激しくなる。その歪みをきれいに直すため、レンズ補正、遠近法、自由変形などの様々な機能を駆使、さらに直した絵の形に違和感がないかを判断する目も必要。かなり難しい作業だ。僕は少しだけ後悔していた。とにかく加工する写真の数が尋常じゃない。写真データをパソコンに取り込む最中に「7(セブン)〜モールモースの騎兵隊〜」をちょっとプレイできたくらいだ。主人公の名前をなぜか「トト・ピー」にしてしまったことにも若干後悔し始めていた。

 これから1ヶ月の間、暇がある時は常にパソコンにかじり付いて作業をしないと終わらないだろう。大学の友人Mさんと僕とで柱2本ずつ。しかもMさんは先輩に、Skypeで僕らの仕事の進行状況を定期的に報告しなければならないらしい。夏休みの宿題みたいに、最後の1日で全部やる的な子どもじみた発想はブロックされた。今日からでも始めなければ、MさんやMさんの先輩方に多大な迷惑をかけることになる。

 僕は簡単な夕食を済ませると早速、「7(セブン)〜モールモースの騎兵隊〜」のプレイに取りかかった。
by msk_khr | 2011-06-03 20:12 | 日々のこと