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マヂカルラブリー

 マヂカルラブリーというお笑いコンビのトークライブを見に行った。
 ふとしたきっかけで彼らの漫才をYouTubeで見てしまい、中学時代に出会った漫画「清村くんと杉小路くんと」以来の衝撃を受けた僕は、ネット上にアップされている彼らのネタをすべてチェックした。
 ウィキペディアを見たらボケ担当の野田クリスタルは自分と同い年だったので再び衝撃を受けた。天才だと思った。

 さらに衝撃を受けたのはライブでの男性客の少なさだった。視認できたのは僕以外で3人。一度だけ間違えて日比谷線の女性専用車両に乗ったことがあるが、あの時と同じ種類の汗が吹き出た。浮いているんじゃないか。周りの視線が気になる。僕は顔が超母親似なので、もしかしたらボーイッシュな女の子のようにも見えるかもしれない、と僕は自分に暗示をかけた。もしくは隣の席の女の子に連れられて、「マヂカルラブリーは知らないけど見にきたんすよ」という彼氏役の設定をひねり出した。最終的にうつむいたままピクリとも動かないことによって自己の存在感を無にした。

 ライブが始まり、客席が暗転して一安心、と思いきや全く暗くならなかった。客の顔が見える状態でトークを繰り広げるという暴挙に彼らは出たのだ。もう開き直って2人のトークに集中することにした。
 彼らはまだあまり売れていない。膨大な数の芸人の中で生き残れるのはほんの一握りだ。美術の世界と同じである。マヂカルラブリーのことを、トークライブに行くほど好きになった理由は自分の境遇と似ているということが大きいように思う。僕も彼らもアルバイトをしながら地道に活動している。ネタ作りは作品作りと同じだ。ツッコミ担当の村上はTシャツさえ買えないほど金に困っている。僕もTシャツこそ買えるものの金に困っている。何年後かに、Perfume並みに彼らが売れていたらすごくいいなと思う。僕もそれまでは絶対に絵を続けていようと思う。

 1時間のトークライブが終わり、僕はピン芸人を目指すお笑い勉強中の若者的な雰囲気をかもし出しながら会場をあとにした。
by msk_khr | 2010-09-28 01:26 | 日々のこと