版の裏の絵画
何だかオシャレな感じですが・・・この模様、何だと思いますか?
タイトルでもう書いてありますが、実はこれ、リトグラフで版として使用するアルミ版の裏面なんです。
リトグラフの「リト」とは「石」という意味で、もともとは石灰石を制作に使用していました。しかし今では軽くて持ち運びのしやすいアルミ版が主に使われています。
アルミ版の片面は描画しやすいように砂目状に加工されていて、表面はザラザラ。細かい凹凸を作ることで、ほどよい摩擦が生まれクレヨンなどの描画材の粒子がいい具合に乗るのです。
それで、なぜその版の裏に模様があるかというと、これらは一度使われたアルミ版だからなんです。
最近アルミの値段が上がっている影響を受け、別の業界のオフセット印刷で使用した版をリサイクルすることでコストを削減しています。
制作には片面しか使用しないので、商業印刷で使われた面が残っている、というわけです。
このような模様以外にも、地図やコーヒーのラベルなど、いろいろな印刷を目にします。
中でも僕はこういった幾何学的な形が好きです。新しい版を用意するときにはいつも裏面を楽しみにしています。
これから誰かに趣味を聞かれることがあれば、「アルミ版の裏面を眺めること」とでも答えて、相手を当惑させてやろうと思っています。
by msk_khr
| 2009-08-21 02:54
| 日々のこと